前節3位から1位に浮上した。三浦俊也監督(43)が目指してきた守り勝つサッカーの質が 実戦をこなすごとに向上。チーム最多タイとなる5試連続完封で 後半30分にMFカウエ(20)が決めた1点を守りきった。札幌のリーグ戦首位は J2を制した00年11月19日以来。
試合終了のホイッスルに DF曽田はゴール前で座り込んだ。FW中山はピッチ中央で両手をひざにつき 下を向いたまま動けなかった。喜びたいが そのわずかな体力がなかった。降格組のC大阪に 1−0でつかんだ白星。精根尽き果てた先に待っていた勝ち点3は チームを7季ぶり首位へと押し上げた。
「組織的にできた。誰かが1人 GKがいいというのではない。チームでやっていること。戦術の理解もある。運もあった」。三浦監督が自信の表情で振り返った。今季のチームカラーを出した90分間だった。引いて守り 速攻で数少ない好機をものにする守備的なサッカー。優位に進めれば ボールの支配率も上がる。シュート数12本対7本が示す以上の快勝だった。
三浦監督が目指すサッカーが試合を重ねるごとに浸透してきた。開幕から6試合 2戦連続で同じ先発メンバーは1度もないが 役割は明確だ。FWが敵陣からプレッシャーをかけてパスコースをつぶし 両サイドバックはほとんど上がらない。ゴール前のクロスに3人以上が入るなどのルールもある。後半30分にカウエが先制弾を決めた7分後にはMF西谷からボランチ大塚を投入した。2試合連続の“9バック”で逃げ切り 5試合連続完封も成し遂げた。
昨季まで3年間指揮を執った柳下監督が目指した「アクションサッカー」は常にこちらから主導権を握る攻撃的な動きを求めたが 目標実現はならなかった。三浦監督は守備的で面白みには欠けるが カウンターという現実路線に切り替えた。今季FWフッキ(現東京V)らが抜けるなど戦力ダウンは否めなかったが チームは組織力で勝負。MF芳賀は「内容より結果が大事。プロは勝つことが求められている」と話していたように 若手育成を掲げていたチームに対する 選手の心の中にあったわずかな甘えもなくなった。
三浦監督も身をもって示してきた。試合中はベンチに座らない。今季6試合540分間 立ち続けている。「(選手と)同じ目線で見えるから」。審判に「座れ」と注意されたときは怒鳴り返し 我を通した。長いシーズンを乗り切るための目標も明確。シーズン前の合宿から 勝ち点90 26勝など数字で示した。その上で絶対にJ1昇格− という闘争心を植え付けた。
暫定ながら00年11月19日の新潟戦以来 2323日ぶりの首位奪取を果たした。過去2度の首位浮上は97年JFL 00年J2ともに 大目標の昇格を果たしている。03年10月から続いていた室蘭4連敗の嫌なジンクスも吹き飛ばした。だが ゴールがまだまだ先なことを指揮官 選手は分かっている。DF西嶋は「喜んでないというのではないけれども 次も試合がある。チームになってきている」と言った。この気持ちの余裕 自信が 今の札幌の強さを象徴している。【長島一浩】